アドボカシー(政策提言)
現在、政府は2010年の通常国会を目標に、放送と通信を包括した新法「仮称・情報通信法」の策定に着手していますがこの動向をウオッチし、市民の声がメディア政策に反映されるようアドボカシー(政策提言)活動とキャンペーンを展開しています。
■2009年5月1日
「放送と通信に関する総合的な法体系の検討アジェンダ」(2009年12月)に関する見解
<法体系全般に関して>
1. 法の理念と目的
新法は、もともと「放送・通信分野の相互参入と競争の促進」「国際競争力の強化」を図る観点から検討が始められたものであり、その立法根拠自体容認できない。
現在の議論はいったん見直しを行い、デジタル時代にどのようなメディア政策を実現させれば人々が文化的で豊かな暮らしに結びつくのかを議論の中心に据えた、コミュニケーション基本法をまずは検討すべきである。その際、放送や通信を経済的な視点から捉えるのではなく、世界人権宣言やユネスコ憲章、憲法の理念にある「コミュニケーションの権利」といった概念を最優先に考慮して、メディアが公共性を有するものであることを認識するとともに、その独立性や多用性を確保することが必要である。
2. レイヤー化および集中排除
国内のコンテンツ力を強化するためには、諸外国同様、レイヤー化(水平分離)を行い、なるべく多くのコンテンツ制作者が放送事業へ参画できる仕組みが不可欠である。また、レイヤー間を超えて、あるいはレイヤー内における集中排除を十分に行える内容とすることが重要である。
3. 認可・監督庁
デジタル化時代のメディア政策を検討・実施するにあたり、放送と通信の行政一本化を検討し、他の欧米諸国同様に、監督庁を独立行政委員会に移管することを議論すべきである。現在の審議会の検討は、放送と通信部局が分離したままで行われているが、本来はまずその改編を最初に着手する必要がある。
4. 市民の参画および情報公開と周知
国民生活に大きな影響を与える内容であることを鑑みると、審議の過程において、多様な立場、地域、セクターからの意見を聞く必要がある。また、地域などの格差を生じないようインターネット中継を行うなど情報の迅速な公開を実施し、国民に十分周知を行うことが重要だと考える。
5. 公共放送の位置づけ
策定に当たっては、放送法の中核となっている日本放送協会(NHK)を含めて議論を行うべきである。NHKを除外した場合、極めていびつな法体系となり、 2010年以降、放送と通信の融合を進める過程で、大きな障害を残すことが推測される。また、市民に開かれた公共放送にするための新たな組織のあり方や受信料の再配分の考え方なども検討に含めるべきである。
<伝送規律>
1. ネットワークの中立性
ネットワークの中立性(Network Neutrality)および透明性を確保することが必須である。また、伝送を担うものは、レイヤ(コンテンツレイヤ等)で守られるべき、通信の秘密・表現の自由などの基本的な権利を損なわないこと必要がある。
2.アクセシビリティの確保
伝送の総体として、伝送にアクセスできる人・できない人の格差を是正する観点を持るべきである。その際、代替伝送手段へのアクセシビリティを確保する必要がある。
<プラットフォーム規律>
1.
プラットフォームの議論に関しては、コンテンツの管理やコントロール、視聴者情報管理が優先されがちだが、デジタル技術の進展を妨げるような規制が生じないよう留意することが必要である。たとえば、知的財産権の保護に関わる制度は幅広く議論し、丁寧に検討する必要がある重要な課題である。デジタル技術の発達とは個別に検討すべきである。
<コンテンツ規律>
1. 法の範囲
コンテンツ規律に関しては、放送と通信と一律に管理監督するのではなく、当面現行の放送のみに限定すべきである。1、コンテンツ規律の原則現行の放送法で記述されている「不偏不党」「政治的に公平」といった文言は、この文言があるゆえに、むしろ、時の政権政党に利用され、影響を受けてきた。このように硬直したメディアと政治の関係をただし、より多様で自由な言論を確保することで、健全な民主主義の発達に資するよう、「多様性」や「独立性」といった新たな原則を打ち立てるべきである。
2. パブリックアクセス導入
デジタル放送における電波の再分配の中で、市民社会メディアにも電波を配分するパブリックアクセスを検討べきである。デジタル化による発生するホワイトスペースや公共放送のチャンネルにおいて、他の先進諸国同様、市民運営のラジオ・テレビの導入を実現すべきである。また、そうしたシステムを支えるメディアセンターの設置を検討すべきである。
3. コミュ二ティメディアの位置づけ
コミュ二ティメディア(市民社会メディア)の重要性「ミュ二ティメディア」や「コミュニティラジオ」、「コミュニティFM」とい用語は、日本語においては、ローカルメディアと混同されがちである。コミュニティメディアは、マイノリティが情報発信の機会を得ること、地域文化の発展に資すること、情報の多元性・多様性が確保されること、メディアリテラシーに資することといった点から重要であり、日本でも根付かねばならないものであり、公共メディアや商業メディアと並び、位置づけを行う必要がある。
4. FMラジオ放送
審議会では、コミュ二ティFMやミニFM(免許不要局により行うFM局)についての議論がないが、共に出力制限を含め規制が厳しく制度緩和が必要。それぞれ、出力範囲が狭く限定的である。市民や非営利のセクターが参加しやすい許認可制度や緩和政策が必要である。
5. インターネット規制
動画を含め、インターネット上のコンテンツをメディア法で規制することは、大きな問題である。インターネット上の犯罪は、現実社会の犯罪同様、それぞれ個別の法律によって取締りを行うべきである。また、社会的影響力によってメディアを分類することは現実的ではなく、この点も見直すべきである。インターネットの検察サイトやポータルサイトが寡占状態になった場合、検索システムなどが中立的なものであることを担保する仕組みを備えるとともに、そのような寡占的な公共的サイトにおける広告スペースを一部市民メディアや小規模メディアに開放し、メディアの多様性を確保するべきである